人工的に農業で栽培される食用となる草本植物で、主に葉や根、茎、花・つぼみ・果実を副食や間食に食べるものを野菜という。同様な部分を食べるもので、野生のものを利用する場合、山菜という。
野菜には、利用目的上は果物であるイチゴ、スイカ、メロンも含んでいる。果物には木本性の果樹に実るものと草本性のイチゴバラ科、スイカ・メロンウリ科・トマトナス科があり、草本性の果物は栽培上は野菜として扱われる。
可食部の違いで葉を食べるものを葉菜、根や地下茎を食べるものを根菜、実を食用とするものを果菜という。また、可食部分のカロテン含有量の違いによって緑黄色野菜と淡色野菜に分けられる。
現代では多様な植物が利用されるようになり、定義は曖昧である。多くは無機塩類やビタミン類、食物繊維が豊富で健康維持に役立っている。
欧米から導入され、戦後普及したセロリ・ラディッシュ・ブロッコリーなどを西洋野菜、1972年の「日中国交正常化」の頃から普及し始めたチンゲンサイ・ターサイ・パクチョイなどを中国野菜と呼ぶことがある。
野菜には旬があるが、近年では品種改良・作型の改良・ハウス栽培・輸入野菜の増加によって、旬以外の時期でも市場に年間を通して供給されるようになった。またこれらの影響か、近年の野菜の味は昔よりも薄くなったと感じている人もいる。近年では少量での需要が増え、さまざまなカット野菜(切断されて部分的に販売される野菜)が利用されるようになった。
一方、主食となる穀物、いも、豆は野菜に含めないことが多いが、それを主食としない文化圏では野菜として扱われることがある。たとえば、穀物であるトウモロコシは日本などでは野菜に含まれ、欧米でも米が野菜に含まれることがある。
宗教・文化的理由もしくは主義として肉食を避ける人は、一般に菜食主義者=ベジタリアンと呼ばれる。
野菜嫌いは、児童・青少年層に見られる偏食の形態で、日本では高度経済成長期の頃から、次第に食生活が変化していく中で次第に問題視され始めた。特に近年ではジャンクフードやファーストフードの普及に伴い、「野菜嫌い=偏食」という意識も強く、逆に栄養学的な裏付けに拠らない菜食主義的偏食に走る者すら見られる。菜食そのものは問題ではないが、人間は一般に雑食性動物であるため、必須栄養素を摂取するために一定の範疇内でバランス良く食べる必要がある。
特に1970〜1980年代では、急速に変化した日本人の食生活により、成人病の増加も懸念され、当時の厚生省(現在の厚生労働省)が1985年に『健康づくりのための食生活指針』を発表した。なおこの中で同省は「1日30品目を食べよう」と提言したが、逆に「30品目」より多くても少なくてもいけないのかという誤解も見られたため、後に「○○品目」という表現は避けられるようになった模様だ。
この流れの中で、健康ブームといった流行もあり、冷凍食品やレトルト食品などのインスタント食品や加工食品が増えるに従い、それらでは栄養面で過不足が出やすいことが指摘され、特に不足しやすいと見なされた野菜類を積極的に取るべきとする論調も発生した。これにより、特に栄養バランスに優れた食事を取るべきだと考えられた成長期の児童らには、より積極的に野菜料理が与えられた。その結果、それらの野菜料理を好まない児童が「野菜嫌い」と評され、更に熱心に野菜を食べるようにと働き掛けを受けた。
野菜嫌いの多くでは、その味(渋さや苦さ)に影響する傾向が見られ、他方ではキノコの見た目的な部分で、ある種の連想により別のものに対する拒否感の延長で嫌うケースも見られる(食べず嫌い)。
味の面での問題では、野菜の多くが温野菜などの形で加熱調理すると、渋みや苦さ、あるいはタマネギやネギの刺激臭といった、子供が嫌う要素が和らぎ、ものによっては甘くなるなど、子供の好む要素が高くなるものも見られる。また歯応えが柔らかくなり、加熱料理することで見た目的なかさが減って一口でより多く食べることができる。
また見た目の点では、みじん切りにする方法や他の料理に混ぜ込むという方法が用いられ、ハンバーグやカレーといった子供が好む料理に入れられる場合も見られる。この中では、細かく切る事で加熱されやすくなり、より食べ易くなるという効果も見られよう。またシチューでは遊び要素的にユニークな形をさせた野菜を前面に出し、子供に興味を抱かせるという方法も聞かれる。
このほか、生野菜でも葉野菜の渋みでは茹でる形で調理すると渋みの原因であるアクが抜け、食べ易くなるもの(ホウレンソウやコマツナなど)があり、またこれらの野菜は生食よりもむしろ茹で調理した方が健康に良いとする意見もある。これらはお浸しにして鰹節や醤油などで味付けをしたり、または他の料理に添えたりする。
他にも野菜炒めのように、子供にも好まれる肉と野菜の折中料理もあり、その一方で生野菜でも茹でただけの温野菜でも、マヨネーズやドレッシングの工夫で美味しく食べられる場合も多い。
野菜に対して関心を持たせる事も、一部では提唱されている模様だ。この中では、家庭菜園やプランター栽培で、ミニトマトやメキャベツといったものを育てさせ、成長したものを調理して食するという食育的な方法が提示されている。万人に効果があるとはいえないが、野菜を育てそれを食べるという体験を通して、農業や生命に対する理解・関心を育むことは、一般教育的にも意義深いものだと考えられている。(屠殺)
市場経済の中で、栽培される品種(味よりも見た目へ)の変化や旬を無視した時期の栽培、肥料の過剰施用などにより、野菜自体の味が落ちているとする意見もある。野菜の旬では、例えばホウレンソウは夏季よりも、旬である冬季に栽培された物の方が甘味が強くなるなどがある。この旬(その食べ物がおいしさを増す時期・季節)という考え方に絡んでは、地産地消の中でも「地域の食材を最もおいしい時期に消費する」ことで、地域の季節と「おいしいものを食べた」という記憶の結びついた体験をさせ、郷土愛のような地域に対する愛着・関心を高めようという動きも見られる。